防空網の構築の仕方
「前回は、歩兵による市街地の守り方をレクチャーしました。今回の初心者向けWargame: Red Dragon(以下、Wargame: RD)攻略チュートリアルでは、防空網の構築の仕方についてレクチャーしたいと思います」
「それでは、マキさん。防空網を作ってくれませんか?」
「わかった。まかせといて!」
(↓)マキさんの防空網。最強のレーダーSAM、改良ホークでがっちり固めています。
「マキさん、何ですかこれ!?」
「何ですかって、防空網だよ」
「改良ホークばっかりじゃないですか!?」
「だって、改良ホークって、射程長いし、レーダー付きで命中率も超高いじゃん! 特に、4スタックで運用すると、敵航空機をバカスカ落とすから、めちゃくちゃ強いんだよ!」
「そう思うのでしたら、一度その防空網でプレイしてみてください」
「楽勝楽勝! あたしの防空網は完璧だから!」
(5分後……)
「ダメだよお〜〜〜〜! ゆかりん〜〜〜!」
「どうしたんですか?」
「Su-24とかMiG-25BMとかKa-52とかがいっぱい出てきて、あたしの防空網が壊滅しちゃったのよ〜〜〜!」
「やっぱりそうでしたか」
(↓)MiG-25BMのKh-58U対レーダーミサイルは5,250mもの対地射程を有するため、4,200mの射程を有する改良ホークを一方的にアウトレンジできます。
「やっぱりって、どういうことなのよ! 最強の対空ユニットばかりを揃えたはずなのに負けるなんて!」
「マキさん、レーダーSAMはたしかに戦闘機には強いですが、対レーダーミサイルを搭載したSEAD機に弱いという欠点があります。だから、レーダーSAMのみで対空網を構築すると、敵がSEAD機を送ってきた場合、まったく歯が立ちません」
(↓)対空SAMである改良ホークは戦闘機に強いですが、SEAD機に弱いという欠点があります。
「そうなんだよね。SEAD機に一方的に蹂躙される状況、どうにかなんないの?」
「SEAD機に対抗するには、短SAMや近SAMのような非レーダーSAMを入れるといいです」
(↓)短SAM、近SAMは非レーダーの赤外線ミサイルなので、SEAD機の目標にはなり得ません。
「なるほど、非レーダーSAMを入れると、SEAD機に対抗できるんだね」
Wargame: RD最強の防空システム:統合防空システム(IADS)の構築の仕方
「ところで、強固な防空網の構築には、対空ユニットの配置の順番が何よりも重要になります」
「対空ユニットの配置の順番?」
「はい。防空重視の防空網を構築する場合は、下図のように……」
前方から対空歩兵、非レーダーSAM、
レーダー対空機関砲、レーダーSAM
の順に配置する
「……といいです」
防空重視の防空網を構築する場合、対空ユニットは、前方から対空歩兵、非レーダーSAM、レーダー対空機関砲、レーダーSAMの順に配置するのがベスト
(↓)マップTropic Thunderの防空網の構築例。防空重視の防空網を構築する場合、対空ユニットは、前方から対空歩兵、非レーダーSAM、レーダー対空機関砲、レーダーSAMの順に配置します。
「え! 対空ユニットって、配置の順番なんてあったんだ!?」
「もちろんです。対空ユニットをその特性に合わせて正しく配置することで、その能力を最大限に活かすことができます」
「ここでのポイントは……」
必ずレーダー対空ユニットの前に
非レーダー対空ユニットを配置する
「……ことです」
「どうしてそんな順に配置するの?」
「このように配置すれば……」
SEAD機がレーダーSAMに到達する前に
非レーダー対空ユニットで迎撃できる
「……からです」
必ずレーダー対空ユニットの前に非レーダー対空ユニットを配置する
↓
SEAD機がレーダーSAMに到達する前に非レーダー対空ユニットで迎撃できる
「海外のWargamerのバイブル『200-Page Guide to Wargame: Red Dragon』において、著者のSandyGunfox氏は、この戦術を次のような図を用いて説明しています」
(↓)レーダー対空ユニットの前に、非レーダー対空ユニットを配置することによって、SEAD機がレーダーSAMに到達する前に、非レーダー対空ユニットで迎撃することができます。
「攻撃側からすれば、実に嫌らしい配置だよね」
「また、レーダーSAMの前方に安価なレーダー対空機関砲を配置することによってSEAD機の囮にすると同時に、SEAD機をスタンさせることによってSEAD機の攻撃を無力化することもできます」
(↓)レーダーSAMの前方により安価なレーダー対空機関砲を配置することによって、SEAD機の囮にすると同時に、SEAD機をスタンさせることによって、SEAD機の攻撃を無力化することもできます。
「要するに……」
安いユニットを盾にする
「……ってわけね。いかにも外人ゲーマーが考えそうな姑息な考え方ね」
「でも、防空網の要であるレーダーSAMが守られるので、合理的な考え方ではないでしょうか」
レーダー対空機関砲を失うより
レーダーSAMを失ったほうがはるかに痛い
「……ので」
「ま、それもそうね。レーダーSAMがあるかないかで大違いだものね」
「でも、ゆかりん。上のTropic Thunderの配置例では、対空歩兵が一番前なんだよね」
「対空歩兵はステルス性が高いので、最前線に配置したとしても、敵に発見されるリスクが低いからです。だから、本陣の護衛や裏取り警戒の場合を除き、対空歩兵はステルス性を活かして積極的に最前線に配置するといいですね」
対空歩兵はステルス性が高いため、敵に発見されるリスクが低い
↓
本陣の護衛や裏取り警戒の場合を除き、対空歩兵はステルス性を活かして積極的に最前線に配置するとよい
「なるほど。だから、対空歩兵、非レーダー対空SAM、レーダー対空機関砲、レーダーSAMの順番に並べるのが一番合理的なんだね」
「なお、上であげたTropic Thunderの防空網の配置は、COMPUTER将軍相手に戦う場合やAir専門プレイヤーが出没する場合など、あくまで防空網を重視する場合の配置です」
「COMPUTER将軍って、そんなに航空機を多用するんだ?」
「だって、COMPUTER将軍は追加ボーナスでたっぷり航空機が購入できますから……」
序盤から5~6機の航空機をフル投入
してくることなんて日常茶飯事
「……ですし」
「え! 序盤から5~6機の航空機をフル投入って、マジ!?」
(↓)プレイ開始後わずか3分で、5機の航空機をフル投入するCOMPUTER将軍。この航空ラッシュに対抗すべく、F-15を2機投入したら、当たり前のようにMiG-25PDを2機追加投入してきました。初動ポイントが1500円なのに、序盤の航空攻勢に900円も使う豪勢ぶり。当然、COMPUTER将軍相手に制空権をとるのは至難の業です。
Wargame: RDの航空戦は
戦術とか一切関係なく基本物量が全て
「……ですから!」
「物量が全てって……某米軍じゃあるまいし……」
「それゆえ、ちょっとでも油断すると……」
開始後5分くらいで爆撃されまくって
初動部隊が全滅して終わることも
多々ありますね
「さすがにCOMPUTER将軍ともなると、えげつないね」
「でも、上のような階層的な防空網を構築することで……」
COMPUTER将軍の航空ラッシュも
余裕で撃退できます
「そんなにすごいんだ!」
「特に、SEAD機が防空網の要となる改良ホークを攻撃しようとすれば、その前に対空歩兵×2、短SAM×2、GUNTANK×1の計5ユニットの集中攻撃を受けることになります」
「改良ホークに到達するまでが地獄というわけね。攻撃側が可哀相だわ」
「また、仮にSEAD機が対レーダーミサイルを発射できたとしても、前方に配置されたGUNTANKが囮になるため、改良ホークが無傷でいる可能性が高いです」
「なるほど。改良ホークが二重三重に守られているってわけね」
「このように、対空ユニットの特性に合わせて階層的に配置することにより……」
SEAD機に強い防空網
「……を構築することができます」
「でも、ゆかりん。これってさ……」
対空ユニットにも諸兵科連合のような
役割分担がある
「……ってこと?」
「そうですね。上にあげた非レーダーSAMとレーダーSAMの組み合わせや、レーダー対空機関砲とレーダーSAMの組み合わせの例からも分かるように……」
異なる種類の対空ユニットの連携によって
それぞれの弱点を補い、長所を活かす
「……という点では、諸兵科連合と全く同じ考え方といえます」
「『200-Page Guide』のSandyGunfox氏は、このような複数種類の防空手段を統合した防空システムをIADS(Integrated Air Defense System。統合防空システム)と呼び……」
IADSの構築によって、敵の航空機に対して最大限の効果を発揮することができる
「……と述べています」
「それゆえ、同じ種類の対空ユニットばかりを揃えるよりも……」
異なる種類の対空ユニットが互いに連携するように配置するほうが、敵の航空機や攻撃ヘリに対して最大限の効果を発揮します
同じ種類の対空ユニットばかりを揃えた場合、弱点を突かれると脆い
(例えば、レーダー対空ユニットに対するSEAD機など)
↓
異なる種類の対空ユニットが互いに連携するように配置し、それぞれの弱点を補い、長所を活かす統合防空システムIADS(Integrated Air Defense System)を構築する
防空を重視しない場合の対空ユニットの選択
「ところで、相手が航空機をあまり出さず、防空をそれほど重視する必要がない場合は、上であげたような複数種類の対空ユニットを組み合わせた強固な防空網は必要ありません」
「それじゃ、どんな対空ユニットを出せばいいの?」
「どれか1種類だけ対空ユニットを出すとしたら、短SAMのような長射程の非レーダーSAMを出すといいですね」
「非レーダーSAMはSEAD機に強く、また、射程が3,000m以上のものを選べば、射程2,800mの対戦車ミサイルを有する攻撃ヘリもアウトレンジできます」
「また、対空歩兵より足が速いので、状況に応じた動的な防空網の構築もし易いです」
長射程の非レーダーSAMのメリット
・SEAD機の攻撃を受けない
・射程2,800mの対戦車ミサイルを有する攻撃ヘリもアウトレンジできる
・対空歩兵より足が速く、状況に応じた動的な防空網の構築がし易い
(↓)防空をそれほど重視しない場合は、短SAMのような長射程の非レーダーSAMを出しましょう。敵のヘリが見えたら、攻撃移動(アタックムーブ)コマンドを使って停止攻撃させることで、射程2,800の対戦車ミサイルを有する攻撃ヘリもアウトレンジできます。
「非レーダーSAMについて、SandyGunfox氏は、次のように述べています」
非レーダーSAMについてのSandyGunfox氏のコメント
SEAD機によって対抗されず、一般に安価で数が多く出せるため、完璧で強固なIADSを構築するための主要部分である。
それゆえ、非レーダーSAMは必須の対空ユニットだ。
「ただ、非レーダーSAMは若干、対航空機戦が弱いので、F-15Jのような7000m級の射程をもったミサイルを搭載した制空戦闘機と組み合わせて使用することをお勧めします」
(↓)非レーダーSAMは若干、対航空機戦が弱いため、F-15Jのような7000m級の射程をもったミサイルを搭載した制空戦闘機と組み合わせて使用するといいです。
「このように、ヘリを長射程の非レーダーSAMで迎撃し、航空機を制空戦闘機で迎撃すれば、必要最小限の防空網を構築することができます」
防空を重視しない場合の必要最小限の防空網
対ヘリ→長射程の非レーダーSAM(短SAMなど)
対航空機→制空戦闘機(F-15Jなど)
「対ヘリ・対航空機に分けて考えるんだね」
「そうですね。その辺は諸兵科連合の場合と同じです。このように、対空ユニットもその特性に応じて使い分けるといいですね」
「というわけで、今回の初心者向けWargame: RD攻略チュートリアルのまとめです。みなさん、お疲れ様でした」
まとめ
防空重視の防空網を構築する場合、対空ユニットは、前方から対空歩兵、非レーダーSAM、レーダー対空機関砲、レーダーSAMの順に配置するのがベスト
必ずレーダー対空ユニットの前に非レーダー対空ユニットを配置する
↓
SEAD機がレーダーSAMに到達する前に非レーダー対空ユニットで迎撃できる
対空歩兵はステルス性が高いため、敵に発見されるリスクが低い
↓
本陣の護衛や裏取り警戒の場合を除き、対空歩兵はステルス性を活かして積極的に最前線に配置するとよい
同じ種類の対空ユニットばかりを揃えた場合、弱点を突かれると脆い
(例えば、レーダー対空ユニットに対するSEAD機など)
↓
異なる種類の対空ユニットが互いに連携するように配置し、それぞれの弱点を補い、長所を活かす統合防空システムIADS(Integrated Air Defense System)を構築する
長射程の非レーダーSAMのメリット
・SEAD機の攻撃を受けない
・射程2,800mの対戦車ミサイルを有する攻撃ヘリもアウトレンジできる
・対空歩兵より足が速く、状況に応じた動的な防空網の構築がし易い
非レーダーSAMについてのSandyGunfox氏のコメント
SEAD機によって対抗されず、一般に安価で数が多く出せるため、完璧で強固なIADSを構築するための主要部分である。
それゆえ、非レーダーSAMは必須の対空ユニットだ。
防空を重視しない場合の必要最小限の防空網
対ヘリ→長射程の非レーダーSAM(短SAMなど)
対航空機→制空戦闘機(F-15Jなど)