ゆっくり司令官死す
「司令官殿、遅いですね……」
「よ! ゆかりん!」
「あれ、マキさん!」
「なんだよ、その、死んだ人間が生き返ったのを見たときのような、オーバーリアクションは?」
(あれ……マキさんって、たしか下関市上空で死んだはずじゃ……。別人なのかな? ひょっとして、よく似た妹さんだとか)
「さっきからジロジロと見て、私の顔に何かついてんの?」
「い……いえ。ところで、マキさん、司令官殿、見かけませんでしたか?」
「司令官って、饅頭のことか?」
「はい。ここ最近、どういうわけか、司令官殿が来なくなったので、レクチャーができなくて困っているんです」
「ゆかりんは知らないのか?」
「知らないって、何をですか?」
「残念だが……」
アイツは死んだ!
「え! 司令官殿が死んだって!」
「いや、正確には……」
某動画内から二度と出られない
身体になった
「……というのかな」
「え! 某動画から二度と出られない身体になったって……」
「なんか、規定でそういうことに決まったそうだ。ま、いわば……」
大人の事情
「……というやつだな! だから奴は二度と……」
某動画の外のインターネット空間に現れることはできない
「……そうだ!」
「そんな……困りましたね。某動画内でしか使えないなんて……著作権って、ややこしいですね」
「大丈夫! ゆかりん。ゆかりんと私なら、今のところそんなややこしい規定はないから、某動画の外でも自由を謳歌できるじゃん!」
「え、そんな。いいんですか、マキさん?」
「問題ないって! 私達って、ニ●ニ・コモンズ出身じゃないし!」
「そういえば、そうですね」
「そ! だから商用や再配布でなければ、自由に使ってOKなわけ! ほんと、心の広い素材提供者様には感謝するしかないね!」
「それじゃ、お言葉に甘えて、マキさんにお話相手になってもらいましょうか」
「よし、決まりだね! それじゃ、よろしくね! ゆかりん!」
「こちらこそ、よろしくお願いします!」