なぜ市街戦では4スタックの歩兵が強いのか?
「みなさん、こんにちは。前回は、マップTropic Thunderにおける初動の目標についてレクチャーしました」
「今回の初心者向けWargame: Red Dragon(以下、Wargame: RD)攻略チュートリアルでは、市街地の守り方についてレクチャーしたいと思います」
「それでゆかりん、どうやってEchoの市街地を守るの?」
「それはいい質問ですね。スカーミッシュにおいて、Echoの市街地を守る主力部隊としては……」
最低でも突撃兵レベル以上の4スタックの
歩兵部隊を少なくとも2〜3部隊投入する
「……といいですね」
「例えば、自衛隊デッキの場合、4スタックの最高練度の空挺'90を2〜3部隊、すなわち、計8〜12ユニットの空挺'90を投入するのがベストです」
「え! 4スタックの特殊部隊を2〜3部隊も投入するの!?」
「ええ。具体的な配置ですが、下図のように歩兵部隊を配置するといいですね。このとき、偵察・対空・対歩兵・対装甲車両の4つの役割をもった諸兵科連合部隊となるように注意してください」
(↓)Echoの市街地における歩兵の配置。偵察・対空・対歩兵・対装甲車両の4つの役割をもった諸兵科連合部隊です。
「ちょ! 4スタックの歩兵部隊が2〜3部隊って、いくら何でも多すぎじゃん!」
「多すぎ? そんなことありませんよ」
「嘘ばっかり!」
「そう思うのでしたら、参考までに、海外でWargamerのバイブルとまでいわれている『200-Page Guide to Wargame: Red Dragon』に紹介された歩兵部隊の配置の一例を見てみましょう」
(↓)『200-Page Guide』に紹介された歩兵の配置の一例です。
4スタックの歩兵だらけじゃん!
マジ!?
「この『200-Page Guide』の著者であるSandyGunfoxさんは、敵に占拠された市街地に攻めに行くときは、次のような部隊を使うそうです」
(↓)同じく『200-Page Guide』に紹介された敵に占拠された市街地を攻める際の攻撃部隊の一例です。4スタックの歩兵部隊×4をフル投入していることがわかります。
(↓)上の攻撃部隊による市街戦の一例です。4スタックの歩兵で敵の歩兵を圧倒しています。
「いくらなんでも、やりすぎだよ……」
「マルチ戦でも、市街戦が主体のマップでは、スペツナズ×4やGRU×4など、4スタックの歩兵部隊のフル投入は意外と多く見られるんですよ」
「そうなんだ? どうしてなの?」
「それは4スタックの歩兵が強いからです。実際、SandyGunfox氏も『200-Page Guide』で……」
市街戦においては、
高スタックの歩兵が最高だ
「……と述べています」
「そうなの?」
「高スタックの歩兵が市街戦で有利な理由として、SandyGunfox氏は次のように述べています」
高スタックの歩兵が市街戦で有利な理由
(1)高スタックの歩兵は、敵の歩兵や軽車両に火力を集中させることができるため、敵をすぐにスタン状態にさせて撃ち殺すことができる
(2)スタックした歩兵は、ユニット数がどんなに多くても1区画の市街地内に収まる。
(3)歩兵は数が多いほど士気が優れている。
「実は、3番目の理由については、海外のフォーラムなどで裏付けがないか探してみましたが、私には見つけられませんでした。なので、本当に歩兵部隊の数が多いほど士気が優れているのか、私にはわかりません」
「でも、それって、本当だったら、なにげに重要な知識だよね」
「一方、高スタックのユニットのデメリットですが、高スタックのユニットは一度の砲爆撃によって、まとめてダメージを受けるというデメリットがあります」
「しかしながら、市街地内の歩兵はステルス性が高いため、ユニット数が多くても敵に露見しにくく、また、砲弾や爆弾の着弾までの間に隣の市街地に兎跳び(瞬間移動)できるので、砲爆撃も比較的容易に回避できます」
(1)市街地内の歩兵はステルス性が高い→ユニット数が多くても敵にその存在を露見しにくい
(2)市街地内の歩兵は砲爆撃を受けても、砲弾や爆弾の着弾までの間に隣の市街地に兎跳び(瞬間移動)によって回避できる
「このように……」
市街地内の歩兵は、高スタックの
デメリットを受けにくい
「……のです」
「なるほど」
「また、スタックされたユニットは初心者に扱いやすいというメリットもあります。実際、8つのユニットを個別に扱うよりも、4スタックの部隊を2つ扱うほうが楽ですよね」
「たしかに」
「特に、自衛隊の空挺'90のような特殊部隊は、対歩兵・対戦車能力に優れ、練度も精鋭クラスなので、COMPUTER将軍の高スタックの戦車ラッシュ攻撃にも余裕で耐える能力を有するのでお勧めです」
(↓)自衛隊の空挺'90は、対歩兵・対戦車能力に非常に優れた歩兵ユニットです。
(↓)練度が高いほど強いため、COMPUTER将軍の高スタックの戦車ラッシュ攻撃にも余裕で耐えます。
「また、特殊部隊の他に、海兵隊や空挺部隊なども初動には使えますね。AI戦の場合は、歩兵だけでなく、戦車も市街地に突っこんでくるので、基本的に、対歩兵・対戦車能力をもった突撃兵レベル以上の歩兵を選択するといいです」
初動部隊としては、対歩兵・対戦車能力をもった突撃兵レベル以上の歩兵を選択すべし
「なお、Tropic ThunderやWonsan Harbourなど、市街戦用のマップに特化したデッキを作っておくことをお勧めします」
「市街戦用のマップに特化したデッキ?」
「私の場合、市街戦用のデッキには、HMVに乗った空挺'90を2枚、計16ユニット入れています。これだけあれば市街戦で負けることはまずありませんね」
「ゆかりん、やりすぎだよ……」
『無能な働き者』にならないことが上達の秘訣
「ところで、いくら4スタックの歩兵が強いからといって、市街地なら必ず歩兵部隊を4スタックにしなければならないわけではありません」
「例えば、ブロック数が2,3しかない小規模な市街地の場合、大規模な砲爆撃を受けると、ウサギ跳び移動によって逃げようがありません」
「それゆえ、このような市街地に4スタックの歩兵部隊を入れると、一度の砲爆撃で全滅する可能性が高く、かえって危険です」
(↓)ブロック数が2,3しかない小規模な市街地は、大規模な砲爆撃を受けると、ウサギ跳び移動によって逃げようがないため、このような小規模な市街地に高スタックの歩兵部隊を入れると、かえって危険です。
「また、交差点や橋の近くなどの交通の要所にない市街地や、主戦線から遠く離れた市街地など、敵部隊が来る可能性の低い市街地に高スタックの歩兵部隊を配置しても、敵にスルーされるだけなのでまったく意味がありません」
(↓)敵部隊が来る可能性の低い市街地に高スタックの歩兵部隊を配置しても、敵にスルーされるだけです。
「4スタックの歩兵部隊が活用できる市街地としては、ウサギ跳び移動で砲爆撃を回避できる程度に規模が大きく、交差点や橋の近くなど、通行の要所となるべき場所にあり、また、マップの中央付近など、戦闘が多発しやすい場所にある市街地などがあげられます」
4スタックの歩兵部隊が活用できる市街地
(1)ウサギ跳び移動で砲爆撃を回避できる程度に規模が大きい
(2)交差点や橋の近くなど、交通の要所となるべき場所にある
(3)マップの中央付近など、戦闘が多発しやすい場所にある
「だから、このチュートリアルでレクチャーした内容を、杓子定規に守るのではなく、状況に応じて臨機応変に対処してくださいね。上であげた状況のように、市街地であってもスタックさせないほうが有用な場合もあるので」
「要するに……」
『無能な働き者』になるな
「……っていうことだね」
無能な働き者
働き者だが、無能であるために間違いに気づかず進んで間違いを実行していこうとし、さらなる間違いを引き起こす者。ドイツの軍人、ハンス・フォン・ゼークトが言ったとされる言葉。
「まさしくそうですね。『無能な働き者』ほど、たちの悪いものはありません。以下は、そのような『無能な働き者』の例です」
『無能な働き者』の例
偵察ユニットの本業は偵察なので戦闘は避けるべきというアドバイスを受けた場合
↓
・敵に発見されても偵察ユニットの武装をOFFにしたまま全く戦闘せずに全滅する
・偵察装甲車を絶対に戦闘に参加させずに、敵部隊の浸透を許してしまう
諸兵科連合を守れというアドバイスを受けた場合
↓
・裏取り・裏取り対策にも偵察・対空等の諸兵科を必ず揃えてから部隊を行動させる
・主戦線の防衛だけでなく、僻地の防衛にも偵察・対空等の諸兵科を必ず揃える
「こういう人たちって、バンドオブブラザーズのソベル大尉みたいに、まったく融通がきかないよね」
(↓)ソベル大尉。教官としては一流?かもしれませんが、状況に応じて臨機応変に戦う実戦向きの指揮官ではありません。
「でも、こういうルール、ルールって感じのプレイヤーはマルチ戦でも意外と多いんですよ。戦略上まったく重要性のない市街地に、歩兵を入れろと命令してくる人とか」
「ほんと、そういう人は、ゼークトが言うように……」
処刑するしかない
「……よね」
「ゲームの世界も、現実世界と同じような人達がいますよね。当たり前といえば、当たり前ですが……」
「だから、このチュートリアルは、あくまで参考程度に考えて下さいね。このチュートリアルや海外で定評の高いガイドでこう書いてあるからって、必ずそれを守る必要はありません」
「状況によっては、このチュートリアルや海外のガイドに書かれたことの正反対のことをしても、正しい結果が得られることもありますので」
「なので、このチュートリアルを一通り学んだら、スカーミッシュなりマルチ戦なりをプレイしてみて、ここでレクチャーした内容が使えるか使えないか、実地に戦ってみて自分で確かめてください」
「みなさんはくれぐれも、上にあげたようなルールばかりを杓子定規に守る、『無能な働き者』にならないでくださいね」
「わかったよ」
「というわけで、今回の初心者向けWargame: RD攻略チュートリアルのまとめです。みなさんお疲れ様でした」
まとめ
高スタックの歩兵が市街戦で有利な理由
(1)高スタックの歩兵は、敵の歩兵や軽車両に火力を集中させることができるため、敵をすぐにスタン状態にさせて撃ち殺すことができる
(2)スタックした歩兵は、ユニット数がどんなに多くても1区画の市街地内に収まる。
(3)歩兵は数が多いほど士気が優れている。
(1)市街地内の歩兵はステルス性が高い→ユニット数が多くても敵にその存在を露見しにくい
(2)市街地内の歩兵は砲爆撃を受けても、砲弾や爆弾の着弾までの間に隣の市街地に兎跳び(瞬間移動)によって回避できる
初動部隊としては、対歩兵・対戦車能力をもった突撃兵レベル以上の歩兵を選択すべし
4スタックの歩兵部隊が活用できる市街地
(1)ウサギ跳び移動で砲爆撃を回避できる程度に規模が大きい
(2)交差点や橋の近くなど、交通の要所となるべき場所にある
(3)マップの中央付近など、戦闘が多発しやすい場所にある