歩兵による市街戦の戦い方
「みなさん、こんにちは。前回は、市街戦において4スタックの歩兵部隊が最強である理由についてレクチャーしました」
「今回の初心者向けWargame: Red Dragon(以下、Wargame: RD)攻略チュートリアルでは、歩兵による市街地の具体的な守り方についてレクチャーしたいと思います」
「それでゆかりん、どうやって歩兵で市街地を守るの?」
歩兵による市街地の守り方
「市街地内の歩兵ですが、これは市街地の向こう側の一番端のブロックに配置するのではなく、一番端から1〜2ブロックほど奥まった場所に配置してください」
「どうして、1〜2ブロックほど奥まった場所に配置するの?」
「市街地の向こう側の一番端のブロックに歩兵を配置すると、思わぬ場所から凄まじい弾幕を受けて、無駄に兵力を削られてしまうことも少なくないからです」
(↓)市街地の向こう側の一番端のブロックに歩兵を配置すると、思わぬ場所から凄まじい弾幕を受けて無駄に兵力を削られてしまうことがあります。
「だから、下図のように、歩兵は1〜2ブロック奥まった場所に配置しておき、必要に応じて市街地の向こう側の一番端のブロックに移動させるようにするといいです」
(↓)歩兵は市街地の向こう側の一番端のブロックではなく、一番端から1〜2ブロック奥まった場所に配置させ、必要に応じて市街地の向こう側の一番端のブロックに移動させます。
「これだと、敵車両からアウトレンジ攻撃されるおそれもありません」
「なるほど」
「また、このように1〜2ブロック開けておくことにより、敵のロケット砲に空撃ちさせるメリットもあります」
「空撃ち?」
「通常、マルチ戦において、ロケット砲による攻撃は、大抵市街地の一番向こう側のブロックに対して行われます」
「どうしてなの?」
「これは砲撃側の心理を考えると分かります。なぜなら、強襲部隊を市街地に送り込んだときに、一番手前の市街地から撃たれないように、ロケット砲による事前砲撃で制圧するわけでしょ?」
「そういえば、そうだね」
「だから、上のように歩兵を市街地の1〜2ブロック奥まった場所に配置することで、敵のロケット砲に空撃ちさせることができるのです」
「そして、ロケット砲撃が終わった後、敵の強襲部隊が市街地に近づいてきたときに、歩兵を市街地の一番向こう側に移動させて攻撃すればいいのです」
「なるほど、敵の裏をかくというわけね」
歩兵は市街地の向こう側の一番端のブロックではなく、1〜2ブロック奥まった場所に配置させる
↓
・敵車両からアウトレンジ攻撃されない
・敵のロケット砲に空撃ちさせることができる
市街戦において効果的なキルゾーン戦法
「でも、ゆかりん。敵の強襲部隊が戦車に支援されていたらどうするの? その場合もやはり戦車からアウトレンジ攻撃されるんじゃない?」
「それはいい質問ですね。たしかに、敵の強襲部隊が戦車に支援されていることはよくありますね」
「その場合は、歩兵を市街地の一番端に移動させず、下図のように敵部隊をあえて市街地内に引き込むといいです」
(↓)キルゾーン戦法では、歩兵を市街地の一番端に移動させず、敵部隊をあえて市街地内に引き込みます。
「そして敵部隊が市街地内に侵入してきたら、下図のように敵部隊を前側と左右側面から挟み込むように歩兵を移動させて、十字砲火で相互支援できるように配置してください」
(↓)市街地におけるキルゾーン戦法の例。2つの歩兵部隊をちょうど十字砲火をなすように移動させて、戦車の弱い側面装甲を攻撃できるように配置すると、面白いように敵戦車を撃破できます。
「このように、市街地を1〜2ブロック開けて歩兵部隊を待機させ、一方の部隊で敵部隊を引きつけている間に、もう一方の歩兵部隊を敵部隊の側面に移動させてキルゾーンを構築することで、効率よく敵部隊を撃破することができます」
「一般に、戦車は、前面装甲は厚いですが、側面装甲は前面装甲ほど厚くはありません。だから、2つの歩兵部隊を十字砲火をなすように配置して弱い側面装甲を攻撃するようにすれば、前面装甲の高い戦車も簡単に撃破することができるのです」
「なるほど、市街地をわざと1〜2ブロックを開けておいて、敵を市街地内に引き込んだ後、キルゾーンを構築するんだね」
市街地の向こう側をわざと1〜2ブロック開けておいて、敵部隊を市街地内に引き込んだ後、キルゾーンを構築することで、効率よく敵部隊を撃破することができる
「キルゾーン戦法の戦い方のコツとしては……」
必ず2以上の部隊で
多方向から同時攻撃を仕掛ける
「……ようにすることです。この原則さえ守れば、T-80×4 , T-64BV×2のような強力な戦車部隊も簡単に撃破することができます」
「なるほど、だから歩兵部隊が2〜3部隊も必要だったのね」
「逆に、一番良くない戦い方は、1つの部隊のみで単独攻撃を仕掛けることです。それゆえ、必ず2以上の部隊で十字砲火をなすように協同攻撃をおこなってください」
歩兵部隊による市街戦のコツ
○必ず2以上の部隊で多方向から同時攻撃を仕掛ける
×1つの部隊のみで単独攻撃を仕掛ける
「また、敵が側面から攻めてきたときは、偵察部隊で敵部隊を引きつけている間に側面から空挺'90で敵部隊を撃破することもできます」
「偵察ユニットなのに、戦ってもいいの?」
「偵察ユニットは避けられる戦闘は避けるべきとは思いますが、必ずしも戦ってはいけないわけではなく、状況に応じて戦闘が必要なら武装をONにして戦闘に参加させてください。そのあたりは臨機応変ですね」
「なにがなんでもルールを杓子定規に守る『無能な働き者』になるな、ということね」
マルチ戦でも役立つキルゾーン戦法
「でも、ゆかりん。マルチ戦でも市街地に戦車が突っこんでくることなんてあるの?」
戦車が市街地に突っこんでくる
のはAIに特有の現象
「……ですね」
「マルチ戦において、このようなおバカな攻撃をしかけるプレイヤーはたまに見かける程度です」
「それじゃAIに勝っても意味ないじゃん!」
「そんなことはありません。ここで学んだキルゾーン戦法は、マルチ戦でも十分に役立ちますよ」
「ほんと?」
「例えば、森林内で歩兵が戦車に出会ったときも、単独の歩兵部隊で倒すのではなく、2つの歩兵部隊を十字砲火をなすように配置して、戦車の弱い側面装甲を狙うのが最も効果的という点は、マルチ戦でも同じです」
森林内でも、歩兵で戦車を効果的に倒す基本的な戦法は同じ
○必ず2以上の部隊で多方向から同時攻撃を仕掛ける
×1つの部隊のみで単独攻撃を仕掛ける
「また、歩兵同士の戦闘においても、単独の歩兵部隊で敵の歩兵部隊を攻撃するのではなく、2つの歩兵部隊で相手の歩兵部隊を挟み込むようにして攻撃する戦法は、マルチ戦においても広く用いられている戦法です」
「そうなんだ」
郷に入れば郷に従え
「ところで、ゆかりん。なんかこのチュートリアルって、さっきから歩兵戦ばっかりでつまんないよね」
「つまらない?」
「だって、あたし、もともと戦車が好きでこのゲームを始めたし、なによりも戦車同士の撃ち合いが大好きなの。なのに、さっきからこのチュートリアルって、歩兵戦ばっかでつまんないじゃん! あたし、もっと戦車が使いたいの!」
「マキさん。それなら、Tropic Thunderで戦うこと自体、見直したほうがいいと思います」
「え! なんで!?」
「だって、Tropic Thunderのようなマップは、激戦区となるマップの中央部分が広大な市街地になっているので、戦車中心のドクトリン(好みの戦法)だと明らかに不利です」
「そうなの?」
「戦車がもっとも活躍できるのは、攻撃機や攻撃ヘリから身を隠すことのできる深い森林が存在し、かつ、2000mの長射程を活かせる開けた場所の多いマップや戦線です」
マップや戦線によって活躍できるユニットが異なる
戦車が活躍できるマップや戦線
・攻撃機や攻撃ヘリから身を隠すことのできる深い森林が存在し、かつ、2000mの長射程を活かせる開けた場所の多いマップや戦線。
・逆に、戦車が市街地の多いマップや戦線で戦うと不利。
歩兵が活躍できるマップや戦線
・歩兵が身を隠すことのできる広大な市街地や森林が多いマップや戦線。
・逆に、歩兵が開けた場所の多いマップや戦線で戦うと不利。
「Tropic Thunderはそもそも戦車の長射程を活かせる開けた場所が少ないので、戦車が活躍できる戦線は、おのずと限られてしまいます」
「なので、戦車を活躍させたいのなら、戦車が活躍できるマップや戦線を選んで戦うべきです。そもそも、市街地の多いマップや戦線で、戦車戦をしようっていう発想自体が間違っているんです。これはいわば……」
戦術以前の問題
「……ですね」
「そんな、戦術以前の問題だなんて……」
「もちろん、Tropic Thunderでも、下図に示すような開けた場所では、戦車が活躍できますよ」
(↓)黄色で囲まれた部分は、Tropic Thunderで戦車戦が多発しやすく、戦車が活躍しやすい場所です。しかしながら、勝敗の鍵となるマップの中央の市街地付近はやはり歩兵が有利です。また、本陣に近い後方地域は、厚い対空網に守られた攻撃ヘリが有利になる傾向があります。
「Tropic Thunderって、意外と戦車が活躍できる場所が少ないのね……」
「そうですね、Tropic Thunderは、マップ中央の市街地の取り合いで勝敗が決まることが多いので、戦車主体で戦うとそれだけで不利です」
「市街地内に突入した戦車は、まさしく第一次チェチェン紛争のロシア軍みたいな結末になってしまいます」
(↓)ロシア軍は、第一次チェチェン紛争で市街地に戦車を投入したため、RPG-7 や RPG-18などの対戦車兵器を持って待ち伏せをしていたチェチェン軍の歩兵に様々な場所から同時攻撃を受け、ほぼ壊滅してしまいました。
「様々な場所から同時攻撃って……」
「……のね」
「海外のWargamerのバイブルとして知られる『200-Page Guide to Wargame: Red Dragon』において、著者のSandyGunfox氏は、市街戦の第1のルールとして、次のように述べています」
戦車は開けた場所で援護するのがベストだ。
戦車は市街戦に用いるべきではない。
「そんな……。それじゃ、市街戦に戦車って使えないの?」
「いえ、そんなことはありません。SandyGunfox氏は、市街戦における戦車の唯一の活用法として、次のように述べています」
市街戦における戦車の唯一の活用法は、RPGの射程よりも遠く離れた場所で、市街地を攻撃できるように、市街地の外に戦車を停車させることである。
「Wargame: RDの市街戦において、戦車は市街地の外に待機して歩兵のRPGの射程外からアウトレンジ攻撃するのが基本です。戦車の活用法については、後のチュートリアルで詳しく解説します」
「このマップ、道理で戦車が使いにくかったわけね……。それが戦術の問題じゃなくて、マップの選択の問題だったなんて……」
「このように、マップや戦線の選択を間違えると、不利な戦いを強いられることになります。だから、みなさんも、なるべく自分のドクトリン(好みの戦法)やデッキに合ったマップや戦線で戦うように注意してくださいね」
自分のドクトリンに合ったマップや戦線を選択して戦うべし
歩兵ドクトリンのプレイヤーは、市街地が多いマップや戦線で戦うべき
(例えば、Tropic ThunderやWonsan Harbourの中央市街地など)
戦車ドクトリンのプレイヤーは、攻撃機や攻撃ヘリから隠れられる深い森林が存在し、かつ2000mもの射程を活かせる開けたが多いマップや戦線で戦うべき
(例えば、Apocalypse ImminentやPaddy Fieldなど)
「これは逆にいえば、マップや戦線の地形に合ったドクトリンやデッキで戦うべきであるともいえます。いわば……」
郷に入らば郷に従え
「……ですね」
マップや戦線の地形に合ったドクトリンやデッキで戦うべき
「Wargame: RDは地形の効果が戦闘にダイレクトに反映されるので、地形に合ったドクトリンやデッキを選んで戦う必要があります」
「だから、Echoのような市街地で戦う場合は、戦車主体ではなく、あくまで歩兵主体で戦うのが第一次チェチェン紛争の教訓であり鉄則です」
「なるほど、だからゆかりんは、歩兵主体の市街戦用のデッキを作っていたんだね」
「というわけで、今回の初心者向けWargame: RDスカーミッシュ攻略チュートリアルのまとめです。みなさんお疲れ様でした」
まとめ
歩兵は市街地の向こう側の一番端のブロックではなく、1〜2ブロック奥まった場所に配置させる
↓
・敵車両からアウトレンジ攻撃されない
・敵のロケット砲に空撃ちさせることができる
市街地の向こう側をわざと1〜2ブロック開けておいて、敵部隊を市街地内に引き込んだ後、キルゾーンを構築することで、効率よく敵部隊を撃破することができる
歩兵部隊による市街戦のコツ
○必ず2以上の部隊で多方向から同時攻撃を仕掛ける
×1つの部隊のみで単独攻撃を仕掛ける
森林内でも、歩兵で戦車を効果的に倒す基本的な戦法は同じ
○必ず2以上の部隊で多方向から同時攻撃を仕掛ける
×1つの部隊のみで単独攻撃を仕掛ける
マップや戦線によって活躍できるユニットが異なる
戦車が活躍できるマップや戦線
・戦車が身を隠すことのできる厚い森林が存在し、かつ、2000mの長射程を活かせる開けた場所の多いマップや戦線。
・逆に、市街地の多いマップや戦線で戦うと不利。
歩兵が活躍できるマップや戦線
・歩兵が身を隠すことのできる広大な市街地や森林が多いマップや戦線。
・逆に、開けた場所の多いマップや戦線で戦うと不利。
戦車は開けた場所で援護するのがベストだ。
戦車は市街戦に用いるべきではない。
市街戦における戦車の唯一の活用法は、RPGの射程よりも遠く離れた場所で、市街地を攻撃できるように、市街地の外に戦車を停車させることである。